本展は「遊園」を題とし、中国古典戯曲『牡丹亭・遊園驚夢』に発するインスピレーションをもとに、現代アートと東洋の伝統庭園との対話を通じて、個人の知覚、自由意志、自然の秩序との繊細な関係性を探ろうとするもので、展示空間そのものが一つの作品となっています。伝統的な日本家屋と庭園は、静謐さや内省的な時間の質感を宿し、そこに置かれた沈烈毅の彫刻作品は、静水に投じられた石のように、物質の微妙な揺らぎを持って鑑賞者に存在の本質を見つめさせます。

『牡丹亭・遊園驚夢』の主人公・杜麗娘は、夢を通じて礼教の束縛を超え、自然の中で自我に目覚めます。この物語は、「純粋な芸術関係への回帰」というARTROOTが掲げる理念と時空を超えて共鳴するものです。本展は古典叙事の単なる再現ではなく、その精神的核心――自由表現への渇望、既成秩序への省察、自然と生命への畏敬――を拠り所として、現代社会に膨張する物質欲望と集団的幻想に応答する試みです。沈烈毅の彫刻は、静謐な空間への詩的な介入であると同時に、芸術がいかに柔らかくありながら持続する力をもって、私たちに現実世界を新たに感受させるかを示唆しています。

園にて夢より覚めたとき――芸術は秋の色のようであるが、それを知る者はどれほどいるでしょうか。「遊園」とは、物理的な空間を歩む体験であると同時に、精神の領域をめぐる旅でもあります。速さを競う現代生活のなかにあって、本展は中世のような沈思の場を築き、芸術と自然の交わりに身を置くことで、喧騒に覆われたより本質的な感情と自由を探し出すよう鑑賞者に呼びかけます。

主催 : ARTROOT
協賛 : Art Trading Shanghai LLC., Crosslink Corp.
協力 : 沉空間, 袁曉菁